スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

最後の日 

ついに明日。

泣いても笑っても最後の日になる。

アケミちゃんの退職日。

街でバッタリ、とでもならない限りは、
もう会うことはなくなるんだろう。


今日、KENは、この会社に就職することを決めた。

バイトながら、新規事業立ち上げの初期メンバーでもあり、
評価してもらい、毎日のようにラブコールを受け続ければ、
悪い気はしないのが人情だ。

3ヶ月働いてみて、居心地のいい職場だし、
自分に向いた仕事を任せてもらえる上、
給料も固定給+出来高制で、稼げる。


それに。


アケミちゃんとカレ氏が一緒にいるところを見て、
苦しめられることも、もうなくなる。


9月の半ばに、
アケミちゃんからバイトの誘いを受けたときは、
「もしかして、アケミちゃんの後釜として?(笑)」
なんて聞いてみようかと思ったけど、
それが現実になったみたいで妙な気がする。


泣いても笑ってもあと一日。

多分、泣きも笑いもしないで、
アケミちゃんを見送る自分がいるんだろう。

スポンサーサイト

無言とコトバ 

ダメだ…。

自分のモノでありながら、
なぜ頭と心はこうも違うのだ。


今日のアケミちゃんは、
派遣の子を一人挟んで、
KENの2つ隣のデスクで、
その子とおしゃべりを楽しみながら、
作業を進めていた。

KENは極力参加せず。

派遣の子が話を振ってきても、
気のない返事。

そのうち話題はアケミちゃんの彼氏まで及び。


知っている話とは言え、
とてもじゃないけど聞いてらんない。


けど、我慢。


話が終わるまで耐え、
ゆっくり席を立つ。

喫煙所。

煙草を立て続けに3本。

気は鎮まらない。

トイレ。

個室にしばらく閉じ籠る。

やっとのことでオフィスへ戻る。

「どこ行ってたんですか、KENさん?」
と、派遣の子。

「煙草吸ってた」
ボソッと答えるKEN。

「機嫌ワル~(笑)」

それがわかってくれれば嬉しいよ。


もうありえないし。

でも、好きだからこんなにも苦しいんだ、
ってこともわかっている。

好きだから、
嫌いになるのか。

おかしいけど、
それは頭と心が別だからだ。


アケミちゃんがそばにいる間中、
KENの意識は彼女に注がれていて、
KENとアケミちゃんに挟まれた派遣の子が、
それに全く気付いていないことがおかしいくらいだった。


退社時刻。

エントランスで、
帰宅するアケミちゃんとすれちがう。

「お疲れ様でーす」
アケミちゃんの顔も見ず、
すれちがい様に声をかける。

多分、それはアケミちゃんの予想を裏切ったはずで、
ちょっとの間をおいて、
「お疲れ様でーす」
と言う彼女の声が聞こえた。

今日初めての会話。
いや、もしかしたら一週間ぶりの会話。

これを会話と呼べるのなら。

本当の会話は、
それまでの無言の中で交されていて、
今となっては、
発せられる言葉は何でも良かった。

拒絶し、
嫌うほど、
アケミちゃんを好きなことを思いしらされ、
身動き取れなくなってい時に、
偶然訪れたコトバを交すチャンス。

不思議なほど自然に声が出て、
返ってこなくても不思議ではない返事を聞く。

何時間も語り明かした後のように、
お互いの距離が縮まった気がした。

一歩前へ 

アケミちゃんが退職することになり、
 もう何日も彼女に会っていない。

 KENは今、
 職場に2人気になる人がいて。

 一人は派遣の子。

 歳はアケミちゃんと同じで、
 なぜか入社してきた時からお気に入り。

よくちょっかい出して遊んでるうちに、
 「俺、この子のコト好きなのかなぁ」
 なんて思い始めた。

もう一人は、
ひとつ年上の社員のカワダさん。

 典型的なO型で、
 ほんわかしてて、
 タレ目が可愛くて、
 いわゆるKENのタイプ。


こないだ職場で、

 「カワダさん、めっちゃタレ目ですね~」
 「俺、タレ目大好きなんですよ」

 と、タレ目愛好家をカミングアウト。


それを聞いたカワダさん、
笑いながら突っ込む。

「それって、
カワダさん大好きってコトでいいですか?」


その場にいた一同爆笑。

「それでいいです!」

KENも笑いながら答える。


 こんなやりとりが出来るのが自然というか、
 自分本来の姿というか。

 アケミちゃんとは、
 結局最後まで壁を作ったままだったコトが、
 今はよくわかってしまうのだ。

なーんて(笑) 

アケミちゃんは、買い物に行くと、
バッグやアクセサリーを見ながら、
無意識に口が開いてしまうらしい。

自分でも、
「アホみたいなんですよ」
と言っていた。

以前、一緒に買い物に行ったとき、
真剣に商品に見入っている彼女の顔を見て、
ホントに開いてるなー、とおかしくなった。

欲しいんだろーなー。

気持ちはわからなくはないけど、
確かにその表情はアホっぽい。


昨日。


いつになく、KENのデスクの近くをうろうろするアケミちゃん。

KENはもちろん知らんぷりを決め込む。


作業の関係で席を移り、
しばらくして、ふと顔を上げると、
口を開けてこっちを見ているアケミちゃんと目が合った。


もしかして、KENのコト欲しくなってきた?

なーんて(笑)

明日もヒトミに会えんだぜ 

明確な指示がないまま進む仕事。
指示があってもコロコロ変わるのも当たり前。

しかも、ボリュームもかなりあって、
締め日に追われる焦りもある。

KENがフルサポートしているとは言っても、
そんな状況に耐えられなくなったようで。

ヒトミさんも、早くも1週間目にして泣きが入る。


「もうダメだ・・・。
一服する」

「そうだな、リフレッシュするか」

ということで喫煙所へ向かう。


他の社員とのコミュニケーションの悩みもあるみたいで。

「あの人さ、ヒトミの後に入ってきて、
まだ何も出来ないのに、年上だからいきなりタメ口だしさ・・・。
ナメてるよね」

「あ!KENさんのコトは尊敬してるよ」

自分がKENにタメ口なのに気づいて、
慌ててそう付け加える。

「あはは、そっか」

KENも別にそれは気にならなくて。
多分、彼女のキャラなんだろう。

溜まっていたものを吐き出し、
うずくまって泣き出す彼女。

「大丈夫、心配ないって」

でも、こんな時、コトバは無力だ。

彼女の頭に手を乗せ、
軽くポンポンと叩く。

「今日はお昼で上がりだし、
明日は休みだし。
もうちょいだよ」

うんうん、と無言で頷くヒトミさん。

彼女が落ち着きを取り戻したの見て、
オフィスに戻る。

お昼になり、KENはランチへ。

会社へ戻る途中、
帰宅するヒトミさんとバッタリ。

明日はシフト休みだけど、
締め日も迫っているし、出勤することにした、
と告げられる。


そして、別れ際、歩き出しながら、
「明日もヒトミに会えんだぜ!」
と親指を立てて、笑ってみせる。

KENもすかさず、
「楽しみにしてるぜ!」
と同じ仕草で返す。


「あはは」
と、笑顔で去っていくヒトミさん。

一人で帰れるかどうかも心配だったKENにとって、
その笑顔は何よりの安心材料だった。

女の子の多い職場で、
悩みを抱えるのはやっぱり女の子で。

多少でも、それを軽くしてあげられるなら、
男冥利に尽きる、と言っても大袈裟じゃないんだよなー。

マユさんのコトバ 

自分の中で結論が出てしまったので、
今更ってコトになるけど、
ついにマユさんに、
アケミちゃんとのコトをうち明ける。

久しぶりに、マユさんと二人きりの喫煙室で。

「KENさん、相談って何?」

「うん、でも、もういいんだ。
なんかもうわかったっつーか」

「え、なんでなんで?
力になれるかもしれないですよ」

あー、とか、うー、とか言いながら、
しばらく切り出すタイミングをはかる。

「実は俺、ずっとアケミちゃんのコト好きでさ・・・」

アケミちゃんとの今までのコト、
別れるって言ったけど、結局別れなかったコト、
ここのバイトにカレ氏も呼んでいるコト、
などなど。

「そっかぁ、それはツライね」

聞き終わって、そうつぶやくマユさん。

「カレ氏じゃないとか言ってるケド、
絶対カレ氏だよね」

マユさんにも、そんな風に言ってるんだぁ。

「うん、カレ氏だよ。
それに、多分、別れないと思う」

と、マユさんに同意する。

「でもさー、
俺の気持ち知ってて、
カレ氏も呼ぶとかありえなくねー?」

「そうだよねー。
昨日だって、きっとご飯行ったよね」


「絶対行ったよ。
あれはきつかったなー」


「今はアケミさんは厳しいかもね」

「そうだね・・・


アケミちゃんのコトも、
KENのコトも知っているマユさんの言葉は、
乱れた心を落ち着かせてくれた。

オボシメシは、このタイミングを待つ為だったのかな。

消えた置きタバコ 

アケミちゃんのコトを書くのも、
あと何回もないんだろうな。

そんなコトを考えずにはいられない。

『決定的な日』の翌日。

出勤した時は、
心穏やかだった。

いつもどおり、
周りの女の子達と冗談交じりに挨拶を交わし。

上着を脱ぐ間もなく、
「KENさん」
「KENさん」
と呼ばれ、質問に答える。

間違いなく、
いつものKENの出勤時の光景。

視界の隅で、
KENの脇を通るアケミちゃんを感じる。

ちょっと体がこわばるのがわかる。

落ち着いたところで席につくと、
しばらくして、アケミちゃんが誰かに質問をされる。

KENの後ろで、立ったまま二人のやりとりが始まる。

アケミちゃんの答え方がとても癇に障り。

仕事の手を止め、
「うっせーな」とばかりに席を立ち、
その二人の間を割って、
足早に歩き去る。

慌ててよけるアケミちゃん。

喫煙所へと向かう。

例の引き出しには、
相変わらずKENのラッキーストライクと、
アケミちゃんのセーラムが寄り添っていた。

そんな光景も、
今はもう見たくなくなっていて。

タバコを吸い終わると、
ボックスを引き出しには戻さずに、
オフィスに持ち帰る。


退社間際、
引き出しを開けてみると、
アケミちゃんのセーラムも消えていた。

決定的な日 

今日という今日ばかりは、
もう無理だと思った。


久しぶりにアケミちゃんカレ氏が出勤し。

別に、隣同士でイチャイチャしているわけではなく、
席も離れて、たいした接触もしていないのだけど、
二人が話しているのを見ると、とてもたまらず、
タバコを吸いにオフィスを抜け出した。

気を静めてオフィスに戻ると、
書類を持って、アケミちゃんがKENのもとへ。

「これ、どういうコトかわかりますか?」

「あー、こうこうこういうコトだね」

回答を聞き、席へ戻るアケミちゃん。

その直後。

「今週末社内の改装工事が入るのでお休みなのは知ってますか?」

というメールが届く。

いぶかしげにアケミちゃんの方を見るが、
知らない素振り。

カレ氏の手前もあり、
まぁいいや、と思い、放置。

カレ氏が帰るとほぼ同時に、
アケミちゃんも
「お先します」
と着替えに。

アケミちゃんがカレ氏に、
「先に行ってて」
みたいなコトを小声で言っているのが聞こえた。

デート着に着替え、
履き慣れないヒールを鳴らして帰っていくアケミちゃんの後ろ姿を見送る。


何という敗北感。


時間差はあったものの、
KENにとっては二人連れだって帰ったも同然だった。

頭ではわかっていた、無理、という現実を、
ようやく心でも理解できた瞬間だった。

あとは、さっきのメールをどうしようと考え始めた。

しゃくだから、そのまま返事もしたくなかったけど、
帰りの地下鉄の中で思い直し、

「うん、知ってるよー
ありがと~(^_^)/」

と精一杯の努力でメールを返信。


このメールが引き際ってコトになるのかな。

送り出す 

今日もヒトミさんと一緒の業務。

初日はKENベッタリだった彼女も、
職場に馴染んだのか、
少し距離を取ってる感じ。

こういう時は押しても逆効果なんだよなー。

KENも仕事重視モードに。

休憩時間に、ばったり喫煙所で会う。

「今日はスゴいお楽しみの日なんです」

と言う彼女。

「4ヶ月待ってたんです」

はぁ~、と心の中で溜め息をつきながら、

「へー、何なに?」

と聞く。

「んー、言えない!」

と言って、いたずらっぽく笑う。

そして喫煙所からフェードアウト。

一人取り残され、自潮気味に笑うしかなかった。


休憩から戻り、仕事。

ヒトミさんの業務が終了する間際、
急ぎの仕事が入り、
残業にかり出されることに。

「用事あるって言って帰っていいんだよ」

と言うKENに、
かたくなに首を横に振って、

「大丈夫です」

と言うヒトミさん。

でも顔は悲しみに満ちていて。

残業が始まり、ヒトミさんが小声で話だした。

「今日ね、4ヶ月ぶりに再会するんです」
「今日を逃すと、もう永久に会えないの」

「え、なんで?」

「お別れだから…」

「え、どしてどして?」

悲しそうな顔でKENを見るヒトミさん。

「ごめん、悪いこと聞いちゃったね」

と慌てて謝ると、
ヒトミさんはうつむいて、
フルフルと首を横に振った。

顔をあげると、

「もうこっちに来ないから。
それに結婚してるから」

と理由を教えてくれた。

「ふぅん、そっか」

何も言う言葉が見つからず、
それだけつぶやいて、
業務に戻るKEN。

だんだんと時間は過ぎて、
ヒトミさんもだんだんと悲しみが増してきて。

「もう今日は帰りなよ。
もう会えなくなるんでしょ?
仕事はまた明日頑張ればいいじゃん」

こんな言葉を何度もかけるけど、
「みんなも頑張ってるから…」
と、なかなか首を縦に振らないヒトミさん。

21時を回ったあたりで、
ようやく帰すことに成功。

帰して良かったのか、
悪かったのか、
ちょっと複雑な思いではあったけど、
彼女を見送る心は晴れやかだった。

久々にフリーの子 

意外な展開、新カテゴリ追加です。

今日入社してきたヒトミさん。
他の新入社員の中でも、
一際目を引く容貌で。

まぁ、社員だし、KENと関わることもないだろー、
なんて思っていたら、
上司から、
「KENさんの業務担当してもらうから、
教えてあげて下さい」

マジっすか。

相変わらず、バイトが新人研修するという歪み現象に抵抗を感じつつも、
心の中ではガッツポーズ。

やっべぇ、近くで見ると、
超可愛いんですけど。

KENのデスクに椅子を二つ並べ、
業務内容を説明する。

飲み込みが早く、
一つのことを説明すると、
次やることも察してくれて。

「わかってんなぁ」、
と感心しきりのKEN。

他の新人にも仕事を教えてきたわけだけど、
かなりの逸材。

おかげで、ほどなくして雑談しながら仕事が出来るようになり、
ヒトミさんのプロフィールをほぼ把握。

一緒にタバコを吸いに行ったり、
結構仲良くなれたのは相性の良いO型だからか。


フリーの子とこんな出会いがあるなんて、
ここ3年くらいなかったから、
なんだかスゲー嬉しくてたまらない。

これが恋に発展したら、
言うことないんだけどねー。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。